今夏、日米教育委員会(フルブライト・ジャパン)では、埼玉発世界行き帰国奨学生向けインターンシッププログラムよりアメリカ留学経験者2名をインターンとして5日間受け入れました。最後の仕事として、8月24日(金)開催いたしました「高校生と保護者のためのアメリカ大学留学説明会」の模様を報告してもらいます!
インターンのお二人、5日間お疲れ様でした!有難うございました (EIS)
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こんにちは。インターンシップ生の田畑と白岩です。
今日は、先週、8月24日に開催しました、「高校生と保護者のためのアメリカ大学留学説明会」について、イベント報告をいたします。
説明会の前半部分では、アメリカの教育制度の特徴や、留学をするにあたっての条件や具体的な準備についてお話があったのでポイントをまとめてみます。
◆アメリカ高等教育制度の特徴
特徴として2つの点があげられます。
@多様である:大学、専攻分野の種類が非常に多いので選択肢が多くある。勉強をしている学生も多様性に富んでいる。(世界各国からの留学生が非常に多い)
A柔軟である:日本ではなかなか難しいと考えられている編入制度、専攻分野やカリキュラムの変更が可能である。
◆教育理念
教育理念にも日本とアメリカでは違いがあります。例えば・・・
・一般教養に力を注いでいる
→幅広い知識と教養を身につけてから専攻を決ることができる。
・受身ではなく自らが主体的に学ぶ
→Critical Thinking(批判的志向)が非常に重要視される。自分で考えて行動をする力を養うことに力を入れている。
◆ 日米の高等教育制度の違い
日米間の高等教育制度の違いは大きくわけて4つあります。
@ 入学試験の有無
アメリカでは日本のような大学入試がありません。
その代わりに・・・書類選考が行われています。
(願書、エッセイ、成績証明書、推薦状、テストスコア等の提出)
A 独自の「認定制度」
アメリカでは文科省が不在のため独自の「認定制度」というものが使用されています。
※ 留学先の大学がこの認定制度で認定を受けているのかどうかは事前にしっかり調べるようにしましょう。認定を受けていないと編入や資格試験に支障が出ることもあります。
B 学期制
日本の大学と違ってアメリカの大学は学期が替わるごとに入学が可能な"学期制"が使われています。
C 卒業の保証
よく、"アメリカの大学は入学するのは簡単だが卒業するのが難しい"といわれているように、入学してもアメリカの大学では卒業は保証されません。成績の維持を心がけましょう。
◆留学に必要な条件
@ 英語力
大学学部レベルTOEFL IBT 61点 / IELTS 6.5 / 英検準一級程度が目安とされています。
A 学力
アメリカの大学では、高校の成績が重視される傾向がありますので良い成績を修めるよう努力しましょう。また、SAT やATCという適正能力試験のスコアもチェックされるので、志望校がSATとATCどちらのスコアを要求しているのかをチェックした上で、受験をして下さい。
B 経済力
留学経費は各大学や地域によって大きく異なりますが、平均では年間(9ヶ月間)約$10,000〜60,000といわれています。近年では多くの大学が授業料の値上げを行っています。
・・・ここで活用するべきなのが奨学金制度です!
是非、日本の奨学金団体が提供している制度や、アメリカの大学の奨学金制度を利用して、なるべく負担の少ない、充実した留学生活を送るように心がけましょう。
C コンピュータースキル
留学情報の収集、願書の提出や、各種のテストを行う際にはコンピュータースキルが欠かせません。自分自身でしっかり準備ができるよう日ごろからコンピューターを駆使して慣れておくようにしましょう。
◆ 留学への準備
基本的に留学準備は約1年前からスタートします。
☆ 留学目的・動機を明確にする
何のための留学なのか、なぜアメリカなのか、はっきりさせる
(掘り下げて考えるプロセスは留学中も非常に大切です◎)
↓
☆ 留学方法を選択する
学位取得を希望するかしないかによりどのような大学に進学するかが変わってきます。
↓
☆ 大学を選択する
大学の名前だけで選ぶとミスマッチの要因になるので要注意!
自分が勉強したい専門分野や学力に相応した自分にぴったりの大学を探すことが大切です。
このステップを頭に入れて留学準備を進めましょう!
◆ 大学の調べ方
調べ方にも多くの方法があるので説明会で紹介したものをここでも紹介します。
・ インターネット
→ 最新の情報が入手できるので、英語で読むのは大変でも非常に有効です。
→フルブライト・ジャパンのウェブサイトにも多くの情報が掲載されています。隅々までチェックしてみましょう。
→留学に関するリンク集にあるCollege Boardの大学検索サイト等も活用してみましょう
・ 留学関係の本や雑誌
・ 説明会
→国内でも多くの留学説明会が開かれています。
※9月15日(土)にもアメリカ大使館主催、フルブライト・ジャパン協力のフェア、AMERICA EXPO 2012が開催されます。是非足をお運びください。
・ 大学訪問
→実際に訪問することで感覚的に確認することが可能です。
→訪問する際には説明会やキャンパスツアーの予約の必要性の有無を確認してから行くようにしましょう。
→また質問がある場合は担当者に予約のアポをとることも忘れずに。
◆ アメリカ大学進学留学に関する基礎知識の説明後に、高校を卒業後、2011年にWesleyan大学に進学された阿部海渡さんをゲストスピーカーとしてお招きし、経験談を伺いました。
プロフィール
お名前:阿部海渡
留学先:Wesleyan大学
奨学金:フリーマン奨学金
・ 留学先としてアメリカを選ばれた理由はなんですか?
―まず、留学決意についてですが、高校生のときに経験した、オーストラリア短期留学、USHSDプログラム、といった文化交流を通して、海外の人々ともっと話したい、という気持ちが湧いてきました。そのことを受けて、高校2年次より、ALTの先生と積極的に会話をするようになり、英語力をのばすための練習を行いました。アメリカを留学先に選んだ理由は大きく3つあります。
@ 国際交流
世界各国から多くの人々が学びに来ているアメリカという国が、多種多様な人種が共存する世界を、そのまま反映しているように感じたからです。どんな時でも、一人ひとりが国の代表と捉えられ、国際色豊かなキャンパスとなっています。授業中に「ジャパン」という言葉が出てくると、ドキッとしてしまいますね。
A 奨学金制度
アメリカの大学への進学留学について、奨学金制度が充実している点も大きな魅力の一つです。私は、授業料や生活費など、留学にかかる費用すべてを、自分で準備したいと考えていたので、両親からの小額の小遣い以外は、フリーマン奨学金を使って生活しています。
B 教育制度
アメリカの教育制度に惹かれたというのも、留学先を決める重要な点となりました。とくに、クリティカルシンキング(批判的思考)とリベラルアーツ(教養課程)は、多くの視点から物事を見るという姿勢を養うのに、非常によい制度だと思います。クリティカルシンキングでは、いくつもの「なぜ」という問いかけから、物事の本質を掴むため、考えることを考えていきます。リベラルアーツでは、日本の大学のように、専攻を決めてから受験するのではなく、大学入学後に、一般教養を学び、それから自身の専攻を決めます。私は高校時代に自身の夢について考えたとき、「○○がしたい」という目標ついて、○○以外の分野のことについてなにも知らないままに目標設定をしてしまってよいのだろうか、自分は消去法で自分の夢を立てたのではないだろうか、という疑問を持ちました。それから、様々なことに触れてから、自分が本当にやりたいことを見つけていきたいと思うようになりました。このとき出会ったのが、リベラルアーツ教育でした。リベラルアーツ教育の理念と自分の思いが合致したことは、アメリカ大学進学への決め手の一つです。
・ アメリカ留学準備を始める方にアドバイスをお願いします。
―私は高校3年次の夏から、SAT、TOEFLの勉強を始めました。少し遅めのスタートだったので、テストの存在を知った時は焦りましたね。
@ SAT
SATについてですが、私が特に難しいと感じるのは、オフィシャルリーディングというセクションです。多くの文章、さらに言うならば、自身の英語力よりも少しレベルが上の文章を選んで、とにかく速読をしてみてください。わからない単語もあると思いますが、意味を推測しながら読み進めることが大切です。
A TOEFLについては、リーディングについては、SAT同様に、なるべく多くの文章にあたること、できればアメリカ史等の分野についてまで読めると良いと思います。リスニングとスピーキングではTed Talksなどを用いて、まずスクリプトを読み、それを自分の口で再生する、という方法が有効でした。ラィティングは、質のよい文章を多く読み、一文一文、また、文章構成をインプットしておくことが重要です。
B 家族
留学を志望するお子さんを持つ保護者の方々には、ぜひ、精神的なサポートをお願いしたいと思います。やはり、長期間、家族や友人に会うことができないのは、心細いことです。私も、留学をはじめたころは半泣き状態でした。しかし、インターネットのおかげで、今は海を越えたところでも、比較的、簡単に連絡がとれます。どうぞ、精神的な支えになってあげてください。
・ 阿部さんのお勧めする教材をおしえてください。
―"Hot Words for the SAT"
―"SAT Official Guide"
―" チャート式シリーズ デュアルスコープ総合英語"
―"総合英語Forest"
―"Ted"
―友人と協力し、アメリカ大学進学留学に関するサイトをつくりました。きっと役に立つ情報もたくさん載せています。どうぞ、ご活用下さい。
"Go Study Abroad - 現役学部生によるアメリカ大学学部受験ガイド"
◆参加者の皆様の感想より
・海外留学のことについて、基本的なことから詳しいことまで、情報を入手することができた、とくに阿部さんの話はとても情熱的で、海外に進むことで、自分の考えの視野が広がり、明るくて楽しく人生を歩んでいけるような気がしました。とてもよかったです。
・ 留学に向けた準備と、どうしてアメリカ留学なのか?という点が良く伝わりました。是非息子にも聞かせたかったです。やはり、本人自身の前向きな取り組みや熱意が実を結ぶのだと阿部さんを見ていて感じました。
・留学したいとは思っていたのですが、留学への知識があまりありませんでした。しかし、今回説明会に参加したことによって、多くの情報を得ることが出来ました。留学したいという思いも更に強まりました。阿部さんの体験談は参考にもなり、励みにもなりました。
◆ 田畑・白岩より
今回は、高校生と保護者のための説明会ということで、多くの方にご来場頂きました。大学進学は多くの人にとって、人生の大きなターニングポイントとなるでしょう。自分にあった大学が見つけられるよう、積極的に情報収集がおこなえるとよいですね。留学を志望していらっしゃる方は、説明会等を定期的に開催しておりますので是非足をお運びください!