Beloit College
金城佐和子さん
私は2008年8月〜2009年5月にかけて米国・ウィスコンシン州に所在する私立Beloit CollegeにFLTAプログラム第一期生として派遣されました。プログラムに参加させて頂く前に「日本語教授」という仕事に直接関わったことはなく、色々と心配な点も多々あったことを覚えています。そこでまず、プログラム採用通知が来てから派遣されるまでの期間に、日本語教授法の本や現地で使う教科書(げんき)を手に入れて読んだり、日本文化を伝えるための資料や伝統工芸品を収集するなど日本に滞在している間に出来る限りの準備をしました。
1. 派遣先大学での仕事内容
a. 秋学期 (2008.08~12.)
Beloit CollegeにはJapanese Studiesという専攻が設けられており、日本人とアメリカ人の専任教授(二名)がいらっしゃいました。私はその二名の教授の元でTA(Teaching Assistant)として任務させて頂きました。まず、秋学期に担当させて頂いたのは一年生(2クラス分、1コマ1時間/週4回)と4年生(1クラス、1コマ2時間/週2回)です。一年生のクラスでは担当教授の元で会話パートナーや発音補助、教材作り補助、宿題の添削を行いました。また、四年生のクラスにおいては、エッセイやテストの添削などだけではなく、クラスの始めの20分間は私がパワーポイントを使ってクラスの導入部分を教えさせて頂きました。
b. 春学期 (2009.01~05)
春学期のクラスにおいては、1年生(2クラス分、1コマ1時間/週4回)と2年生(1クラス、1コマ50分/週4回)、4年生(1クラス、1コマ90分/週2回)のTAを担当させて頂きました。1年生と4年生のクラスは前学期からの引き継ぎでしたので、仕事内容がほとんど変わらなかったため比較的容量を得ることができました。2年生のクラスでは専任教授のもとで会話パートナーや発音補助、文法の説明等を主に担当させて頂きました。
c. 授業外の語学学習補助活動(ジャパンテーブル)
日本語のクラスを取っている中級〜上級レベルの生徒を対象に週2回ランチタイムにてジャパンテーブル(1時間程度)を設け、ネイティブスピーカーと直接日本語で会話する活動を秋・春学期に担当しました。大学に日本人学生が少人数しかいなかった為、ネイティブスピーカーと日本語会話を練習したいという意欲的な生徒が毎回必ず10人程度は訪れ、私以外の日本人学生も誘って日本語クラスを取っている学生たちになるべく生の日本語に慣れてもらうようにしました。ジャパンテーブルでは、日本語のクラスで理解できなかった文法や表現の説明を求めに来る学生もおり、教科書を一緒に見ながら実際に生徒たちが分かりにくいポイント等を把握するための情報交換の場にもなりました。
d. チューター
TAを担当している各学年のクラスで、著しくクラスに追いついていない学生(各クラス1〜2人程度)の授業外でのチューターを1時間ずつ担当しました。チューターは主にクラスの復習に力を入れました。教科書の練習問題を解いてもらい、間違ったところを一緒に考えながら復習するという形式でチューターを進めました。一対一のチューターの場合なら問題はないのだが、生徒が複数人いる際は一人一人のレベルが違うため教える際にもさらに注意を払う必要がありました。大学時代に中学生の家庭教師のアルバイトをした経験があった為、チューターの仕事は比較的取りくみ易かったと思います。
e. ジャパンクラブの運営
Beloit Collegeの周りはアジア系のスーパーや繁華街といったものがほとんど無く、その意味でもジャパンクラブは学生たちが日本文化に触れる数少ない機会だったと思います。ジャパンクラブの運営に参加することで、FLTAプログラムの目的の一つであるCultural Ambassadorを達成できたのではないかと思います。ジャパンクラブでは主に茶道の実践や日本の文化紹介のプレゼンテーション、日本食の試食会などを行いました。
2. 履修したクラスについて
私は主にAmerican Studiesのクラス(”American Romanticism”, “Woman, Race, and Class”, “20th Century American Literature”, “International Prose and Poem”)を受講しました。将来、日本で英語教育に関わっていく上でアメリカ文化や社会、歴史等をアメリカ本国で学べるという機会は大変貴重なものになりました。勿論、英語でペーパーを何度も作成するという作業を通して英語力の向上にも大いに繋がったと思います。履修したクラス以外にもハンガリー語のクラスも聴講させて頂けることになりました。ハンガリー語という学習したことのない外国語のクラスに参加することで、アメリカにおける外国語教育の実態を把握することも出来たと思います。ハンガリー語のクラスでは、生徒を能動的に参加させるスタイルを終始取っており、教授法等も今後の日本での英語教授法の参考にもなりました。
3. FLTAプログラムを終えて
私にとって米国留学は今回が初めてではありませんでしたが、「日本語を教授する」というプログラムの主旨を通してより具体的・実践的に外国語教育を研究する貴重な経験となりました。日本だけでなく諸外国のFLTAのメンバーと関われたこともより世界的な視野を広げる良い刺激になっています。彼らとは現在でも連絡を取り合い、世界中の外国語教育のエキスパートたちとネットワークが出来たことも本プログラムの大きな財産となっています。FLTAプログラムで得た知識・経験を英語教育を通して次の世代へと還元できるように日々邁進して行きたいと考えております。
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者最終レポート第八弾!
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者最終レポート第七弾!
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者最終レポート第六弾!
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者最終レポート第五弾!
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者最終レポート第四弾!
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者最終レポート第ニ弾!
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者最終レポート第一弾!
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者レポート第6弾!
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者レポート第5弾!
- 2008年度フルブライト語学アシスタントプログラム参加者レポート第4弾!